相続人になれるのはどういった人ですか?
民法は、相続人になれる人の範囲を定めています。これを法定相続人といい、「配偶相続人」と「血族相続人」の組合せとなっています。
なお、予め遺言を作成しておくことで、法定相続とは異なる内容の相続をさせることもできます(Q6を参照)。
相続分について教えてください。
民法で定められた相続分を法定相続分といいます。配偶相続人と血族相続人の組合せにより法定相続分は異なります。
もっとも、相続人全員が合意をすれば、これとは異なる割合での相続をすることも当然できます。また、予め遺言を作成しておくことによっても、法定相続とは異なる内容の相続をさせることができます(Q6を参照)。
「特別受益」や「寄与分」とは、どういったものでしょうか?
相続人のうち特定の者だけが相続開始前に特別な贈与を受けていた場合や、相続人のうち特定の者だけが相続開始前に被相続人(亡くなった人のことを指します。)の財産の形成や維持に貢献をしていたという場合、残された財産を単純に分配したのでは不公平になる場合があります。これらを調整するための制度が「特別受益」と「寄与分」です。
ただし、どういった場合が特別受益や寄与分にあたるのか、また、具体的にどのような調整を行うかは事案によって異なり、その判断も難しいですから、ぜひ弁護士にご相談ください。
遺産分割の手続はどのように行ったらよいですか?
すべての相続人の間で話し合いを行い、合意に達すれば、遺産の分割ができます。当事者全員の合意が得られれば、法定相続とは異なる内容での分割も可能です。協議が成立したことを明らかにするため、遺産分割協議書を作成することをおすすめします。
相続人の間で話し合いがつかない場合には、家庭裁判所の遺産分割の調停や審判の手続を利用することになります。
調停手続では、家庭裁判所が選任した調停委員が、当事者双方から事情を聴いたり、資料の提出を求めたりして事情を把握したうえで、当事者の意見も聞きながら解決案を提示するなどして、合意ができるように努めます。
なお、話し合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、家事審判官(裁判官)が、遺産に属する物または権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。
被相続人に負債があった場合にはどうしたらいいですか?
相続の対象には、現預金や不動産といった資産ばかりではなく、マイナスの財産である負債(借金)も含まれます。そして、相続人は、相続が開始したことを知った時から3か月以内に、すべてを相続するか(「単純承認」)、全く相続をしないか(「相続放棄」)、相続財産の限度で相続するか(「限定承認」)を決めることができるのですが、何も手続をしないと単純承認したものとみなされてしまいます。
したがって、負債が過大である場合には速やかに、相続放棄(場合によっては限定承認)を行うかどうかを検討し、相続が開始したことを知った時から3か月以内に手続をとる必要があります。具体的な手続や判断基準については弁護士にお尋ねください。
遺言を作成したいのですが、どのようにしたらよいですか?
遺言を作成しておくことで、法定相続とは異なる内容の相続をさせることが可能となります(Q1、Q2を参照)。
遺言には、遺言者自身が自筆で作成する「自筆証書遺言」のほか、公証役場で作成してもらう「公正証書遺言」などがあります。方式の不備で無効となるおそれや、紛失・偽造といった心配のない「公正証書遺言」をおすすめしますが、弁護士は、遺言書の作成についてもアドバイスをしていますので、お気軽にお尋ねください。
なお、兄弟姉妹以外の相続人には、「遺留分」(相続人に保障されている最低限の取り分)が認められています。したがって、遺言書を作成する際には、この遺留分との関係も重要になってきます。詳しくは弁護士にご相談ください。