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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

消費生活センターの設置を求める会長声明

第1 声明の趣旨
 
 当会は,県内全市町村が,消費生活センターを設置することを求める。

第2 声明の理由

  1.  はじめに
     当会は,日ごろの消費者問題への取組状況から,消費者被害の予防と救済のためには,消費者に身近な市町村において,消費生活相談体制を充実することが不可欠であるとの認識に至り,平成27年7月13日,消費生活相談窓口の充実を求めるための意見書を発表した。
     また,国は,消費者問題に関する相談・救済体制の整備のため,①人口5万人以上の全市町及び人口5万人未満の市町村の50%以上に消費生活センターを設置,②市町村の50%以上に消費生活相談員を配置,③相談員の資格保有率を75%以上にする,という数値目標を定めている。しかし,山梨県は,この3つの数値目標すべてで目標未達成であり,かつ,全国平均を下回っている。山梨県は,全国の都道府県の中でも,消費者問題の相談・救済体制の整備が遅れている県の1つと言わざるを得ない。
  2.  山梨県消費者基本計画の策定
     山梨県は,平成28年3月29日,上記数値目標未達成の現状を踏まえ,県内の消費者施策を総合的に推進するために「山梨県消費者基本計画」(以下「県計画」という。)を策定した。
     県計画では,重点施策の1番目に「市町村における消費生活センターの設置または消費生活相談員の配置による相談体制の充実」が掲げられており,山梨県として「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ,安全・安心が確保される体制整備を促進」(県計画19頁)するとしている。
     そして,市町村が実施する相談体制の充実等に関し,山梨県が支援を行い,県計画の実施期間である平成28年度から平成32年度の5年間で,上記3つの数値目標を達成するとしている。
  3.  当会の意見
     しかし,当会は,「どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ,安全・安心が確保」されるためには,上記3つの数値目標に関わらず,県内の全市町村に消費生活センターを設置すること(複数の市町村による広域連携を含む。)が必要と考える。
     なぜなら,消費生活センターは,消費生活相談員を配置し,消費者問題に専門特化した相談・あっせん業務を行う専門機関であり(消費者安全法第10条第2項),この相談・あっせん業務は連続的かつ速やかに行うことが想定されている。そして,このような相談・あっせん業務を行う機関を,県内全市町村が設置することで,初めて,消費者が,どこに住んでいても,質の高い相談・救済を迅速に受けられるようになるからである。
     また,既に消費生活センターを設置し,週5日の終日相談を実施する甲府市,および富士吉田市ほか5町村(山中湖村,忍野村,西桂町,富士河口湖町,鳴沢村)の消費生活相談件数は,センター設置以降,急激に増加しており,市町村の相談体制充実により住民の相談利用が促進される結果となっている。
     さらに,当会は,住民から消費者問題に関する法律相談を受付けているほか,平成28年4月から,消費生活相談員を対象とした無料法律相談である「消費生活相談員ほっと相談」の運用を開始した。この制度は,消費生活相談員が対応に悩む事例について,経済的負担なく当会の弁護士に相談することができる制度である。当会は,県内全市町村が消費生活センターを設置し,消費生活相談体制を整備するための取組みの一環として,上記ほっと相談を実施するものである。これにより,県内市町村の消費生活センターと当会が連携して消費者問題に対処することが期待される。
     よって,当会は,声明の趣旨のとおり,県内全市町村が消費生活センターを設置することを求める。

2016年5月19日

山梨県弁護士会
会長 
松本成輔