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声明・総会決議
司法修習生に対する給費の実現・修習手当の創設を求める会長声明
司法修習生への給費の実現・修習手当の創設については、この間、日弁連・各単位弁護士会に対して、多くの国会議員から賛同メッセージが寄せられている。平成28年1月14日、同賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。 メッセージを寄せた国会議員については、その所属政党は与野党を問わず、また、世代を超えた広がりを見せている。 これは、司法修習生への給費の実現・修習手当の創設が正当な政策要求であることへの理解が得られつつあることの証左といえる。
そもそも、司法制度の最終的な受益者はその利用者である国民であり、司法修習生への給費は、この司法制度を担う人的インフラである弁護士や裁判官、検察官になろうとする司法修習生を養成する責務が国にあるとの考え方に基づいている。
当会は、給費制の廃止がわが国の司法を支える法曹の基盤を脆弱化させ、ひいては市民の権利保障を後退させるのではないかと、従前から強い危惧を抱いてきた。
そして、まさにこの危惧の通り、給費制から貸与制(無給制)に移行して以来、法曹を目指す者が年々減少の一途をたどっている。
平成27年度の全国の法科大学院の受験者数はのべ9,351人であり、平成16年度(40,810人)の4分の1以下、貸与制(無給制)に移行した平成23年度(20,497人)と比べても半数以上にまで落ち込んだ。そして、平成27年度の実際の法科大学院の入学者数は過去最低の2,201人で、学生を募集した54校のうち50校で定員割れとなった。
また、法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格が得られる予備試験の受験者数も、予備試験制度が開始された平成23年度以降毎年増加していたが、平成27年度は初めて減少に転じた。
かかる法曹志望者数が減少したのは、主に法科大学院に入学してから法曹資格が得られるまでに重い経済的負担を余儀なくされるからである。中でも、司法試験に合格した後もなお、1年間にわたって無給で、しかも大多数の者は国から借金をしながら司法修習を受けることを強いられるからに他ならない。
したがって、司法修習生への給費の実現・修習手当の創設は、法曹志望者数減少に歯止めをかけるためにも喫緊の課題である。
今や、政府においても、この課題の認識が広がりつつある。
去る6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議(議長:菅官房長官)が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」には、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的援助の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。
これは、これまでの幾多の法曹養成制度改革に関する政府組織での提言・決定等が「貸与制を前提」と明言していたことに比べて大いに前進し、一種の政策変更にあたると評価し得る。
当会は、司法修習生への給費の実現・修習手当の創設に対し、国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること、及び、政府においてもかような政策変更が決定されたことを踏まえて、国会に対しては、給費の実現・修習手当の創設を内容とする裁判所法の改正を求めるとともに、政府と最高裁判所に対しては、かかる法改正を実現するため早急に所要の措置をとることを求めるものである。
2016年1月20日
山梨県弁護士会
会長
關本 喜文
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