本日、衆議院平和安全法制特別委員会において、集団的自衛権の行使を容認し、他国軍の武力行使と一体化する自衛隊の後方支援及び地理的制限のない自衛隊の海外派遣を可能とする安全保障関連法案が与党単独で強行採決され可決された。
基本的人権を擁護し、社会正義を実現する使命のもと、山梨県弁護士会は、同法案の強行採決に強く抗議する。
そもそも、同法案は、これまでの日本が日本国憲法下で堅持してきた恒久平和主義(憲法9条及び前文)をくつがえし、武力を行使する国、戦争をする国へと、これまでの国の在り方を根本的に変えてしまうものにほかならない。さらに、同法案は、法律の制定・改正によって、憲法9条等の定める恒久平和主義の実質的内容を根本から改変してしまうものであり、近代憲法の基本理念である立憲主義に違反する。
多くの憲法学者が同法案に対して憲法違反であることを唱え、また、最新の世論調査によっても、政府の憲法違反ではないとの説明に納得できない、国会での審議は尽くされていないとの割合がそれぞれ50%を超えている。
平和と安全そして人権に関わる問題は、主権者である国民が十分に理解し、納得することが必要不可欠である。国民の理解が不十分なまま憲法違反の法案が強行採決されることは、民主主義に反する暴挙である。
与党は、今後、16日の衆議院本会議での可決、そして、憲法59条2項ないし4項によって、参議院での審議結果にかかわらず、同法案を再可決し成立させることを目指すと思われる。しかし、そのことによって、そもそも憲法違反である同法案に対する国民の理解、納得が得られるとは到底思えない。
山梨県弁護士会は、恒久平和主義、立憲主義に反する安全保障関連法案に反対し廃案を求める立場から、民主主義に反する同法案の強行採決に強く抗議するものである。
2015年7月15日
山梨県弁護士会
会長 關本喜文