経済産業省及び農林水産省は、本年1月23日、商品先物取引法施行規則の一部を改正する省令(以下、「本省令」という。)を定め、商品先物取引について不招請勧誘の禁止規定を緩和することを公表した。
本省令は、当初の公表案を若干修正し、同規則第102条の2を改正して、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘以外に、65歳未満で年収800万円以上又は金融資産2000万円以上を有する者について、取引のリスク等の理解度を確認し、投資上限額を設定するなどの要件を満たした場合に、訪問や電話勧誘を許容する例外規定を盛り込んでいる。
しかし、顧客が上記要件を満たすかどうかの確認行為は、業者により訪問や電話等の手段で勧誘行為と併せてなされるのであるから、結果として顧客に対する不招請勧誘は事実上許容されることとなる。また、書面による資産内容や理解度の確認についても、顧客において十分な理解がない状態で業者に指示されるままに作成してしまうことは容易に想定できる。そのため、本省令は、不招請勧誘を原則禁止とした商品先物取引法第214条第9号を骨抜きにするものであり、同法の委任の範囲を超えた違法なものであると言わざるを得ない。
当会は、2014年(平成26年)11月1日付け会長声明において、消費者保護の観点から、商品先物取引法施行規則改正による不招請勧誘禁止の大幅緩和に強く反対しており、本省令についてはおよそ許容できるものではない。
よって、当会は、本省令による商品先物取引における不招請勧誘禁止の緩和について抗議するとともに、本省令を直ちに廃止することを強く求めるものである。
2015年5月22日
山梨県弁護士会
会長 關本喜文