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声明・総会決議
憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認と国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明
2012年12月の衆院選で、自由民主党(以下、「自民党」という。)が大勝し、政権与党となって以来、集団的自衛権の行使を容認する動きが加速している。安倍首相は、2013年1月13日に放送されたテレビ番組で、「集団的自衛権行使の見直しは安倍政権の大きな方針の一つ」と述べた。
また、同年2月8日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下、「安保法制懇」という。)が、約5年ぶりに再開された。首相官邸のHPによれば、安保法制懇の開催趣旨として、「我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中、それにふさわしい対応を可能とするよう安全保障の法的基盤を再構築する必要があるとの問題意識の下、集団的自衛権の問題を含めた、憲法との関係の整理につき研究を行うため、内閣総理大臣の下に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を開催するものです。」とある。
安保法制懇は、平成20年6月4日報告書により、政府に対し、「憲法9条は、個別的自衛権はもとより、集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではないと解釈すべきものと考えられる。」と提言した。今回は安倍首相が前回の検討事項に加え、自民党が衆院選の公約に掲げた国家安全保障基本法(2012年7月6日に自民党総務会でその概要が決定)の制定など、新たな課題についても検討するよう諮問した。今回の安保法制懇では、年内に首相への報告書をまとめる方針とされている。
集団的自衛権とは、政府解釈によれば、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」(1981年5月29日政府答弁書)とされる。
これまで、政府は、個別的自衛権については、自国に対して武力攻撃が加えられた場合に、これを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することは憲法に違反しないと説明してきたが、集団的自衛権については、その行使は憲法上許されないとの立場を長らく堅持してきた。
日本国憲法が、憲法前文で平和的生存権を確認し、第9条で戦争放棄、戦力不保持及び交戦権否認を定めるなど、徹底した恒久平和主義を採用したことから、当会は、集団的自衛権の行使は憲法違反であると解するが、政府が、安保法制懇の報告書をもとに、集団的自衛権の行使を容認すべく政府見解を変更しようとすることは、さらに憲法尊重擁護義務(憲法第99条)が国務大臣や国会議員に定められていることからも、許されないと解する。
また、国家安全保障基本法案(概要)は、集団的自衛権の行使を、憲法改正の手続を経ることなく、法律により容認しようというものであるが、下位にある法律によって憲法の解釈を変更することは、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(憲法第98条)、政府や国会が憲法に制約されるという立憲主義に反するものであって、到底許されないと解する。
当会は、日本国憲法によって否定されている集団的自衛権の行使を、政府による憲法解釈の変更によって容認すること、及び集団的自衛権の行使を明記した国家安全保障基本法を成立させようとすることに対し、強く反対する。
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2013年11月9日
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