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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

司法修習費用給費制の在り方等について検討する組織の早期設置を求める会長声明

平成22年11月26日、司法修習生に対する修習費用の貸与制の施行を延期する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会で可決され成立した。これにより、平成22年11月採用の司法修習生に対しては、従前と同様に修習費用の給費が実施されることとなった。
当会では、昨年6月に「給費制維持に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、8月6日には約140名の市民が参加した「司法修習生の給費制維持を求める市民集会」を開催するなど、司法修習生に対し修習費用を支給する制度(給費制)が維持されるよう求め、運動を続けてきた。今回の法改正はこのような当会の運動の趣旨に沿うものであって、国会の英断を歓迎したい。

今回、1年間という暫定的なものとはいえ、給費制が維持されることになったことは、我々の運動が世論の一定の理解を得られた結果であると考える。当会の運動にご理解を頂き、5000筆を超える署名等にご協力頂いた市民の皆様、報道等でご協力頂いた報道関係者各位、ご賛同頂いた国会議員、そして、当会の請願に基づき意見書を全会派の一致で採択してくださった山梨県議会議員各位、その他関係各位に対して心より感謝を申し上げる。

ところで、今回の法改正は、今後1年間に限り給費制を延長するというものであり、その間に、「個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」とされ、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。」とされている(衆議院法務委員会附帯決議)。

しかしながら、上記各点を検討するための組織は、本日に至るもいまだ設置されていない。平成23年夏頃と想定される通常国会の終了までに、新たな法改正が必要となることを考慮すると、対応が遅れているものと言わざるを得ない。

法曹(裁判官、検察官、弁護士)は、国の予算を用いて養成すべき社会資源であり、給費制が廃止されることによって、法曹志望者が経済的理由から法曹への道を断念するようなことがあってはならない。

以上の理由により、当会は、政府及び最高裁判所に対し、司法修習生に対する財政的支援の在り方や、法曹養成制度全体の在り方を検討する組織を直ちに設置するよう強く求めるものである。

2011年1月12日

山梨県弁護士会
会長 
信田 恵三