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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

代用監獄の廃止を求める決議

  1. 警察署内に設置されている留置場は、本来被疑者を司法当局に引致するまでの間一時的に留め置く場所であり、被疑者を勾留すべき施設ではない。
    被疑者を勾留すべき施設は捜査当局から独立した施設でなければならず、被疑者の勾留を捜査に利用することがあってはならないことは、国際人権規約委員会などの国際機関によっても確認され、かつ国際人権規約にも明記されているとおり、近代刑事司法の大原則である。
  2. そうした大原則に逆行し、代用監獄を恒久化させる内容の「拘禁二法」案が1982(昭和57)年4月、国会に提出された。
    日弁連は全力でこの法案を廃案とするための運動に取り組み、当会においても他会に先駆けて臨時総会を開催したうえで廃案にするための総会決議を採択し、市民集会を開催し、駅頭宣伝活動、弁護士デモ等の反対運動を続けてきた。こうした国民運動の力によって同法案は1983(昭和58)年11月に廃案となった。
    その後も1987(昭和62)年4月、1991(平成3)年4月に提出された第2次、第3次拘禁二法案も同様に廃案とされた。
    警察庁、法務省は三度廃案とされた事実を重く受け止め、虚偽自白の温床となってきた代用監獄の存続を断念し、被疑者の勾留場所を拘置所とするための施策を考えるべきであった。
  3. しかるに、今般、代用監獄を恒久化するための法案が通常国会に提出されようとしている。しかも今回の法案には代用監獄の存続を是とする有識者会議の意見が付されている。情勢は極めて緊迫していると言わざるを得ないものである。
    警察庁舎の建て替え等によって留置場の内容が近代化されたとしても、捜査側の手元に身柄を留めるという代用監獄の本質にはいささかの変化もないのである。

昨年9月に再審開始が決定された布川事件(1967年8月に発生した強盗殺人事件、自白のみを唯一の直接証拠として二名の被告人に無期懲役が言い渡されていた事件)、真犯人が見つかって窃盗罪等が無罪となった宇和島誤認逮捕事件など代用監獄が虚偽自白の温床となり、えん罪を生んでいる例は現在においても枚挙にいとまがないのである。

当会は、代用監獄の存続を是とするあらゆる立法に反対し、代用監獄の廃止を強く求めるものである。

2006年2月24日