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声明・総会決議
「福井女子中学生殺人事件」の無罪判決を受け、改めて刑事訴訟法の再審規定(再審法)の速やかな改正等を求める会長声明
本日、名古屋高等裁判所金沢支部は、いわゆる「福井女子中学生殺人事件」再審公判において、請求人の前川彰司さんに対して無罪判決を言い渡した。
本件は、1986年(昭和61年)3月に福井市内で女子中学生が殺害された事件で、前川さんは事件発生から1年後に逮捕されたが一貫して無罪を主張し、第一審の福井地方裁判所は1990年(平成2年)9月、関係者らの供述の信用性を否定して無罪判決を言い渡した。しかし、第二審の名古屋高等裁判所金沢支部は1995年(平成7年)2月、関係者らの供述の信用性を認めて懲役7年の有罪判決を言い渡し、上告審で有罪判決が確定した。
前川さんは、2004年(平成16年)7月に再審請求を申し立て、名古屋高等裁判所金沢支部は、2011年(平成23年)11月、再審開始決定を言い渡したが、再審異議審の名古屋高裁は、2013年(平成25年)3月、再審開始決定を取り消し、特別抗告審もこれを是認した。
前川さんは、2022年(令和4年)10月、再度の再審請求を申し立て、名古屋高等裁判所金沢支部が再審における証拠開示や事案の解明に向けて積極的な訴訟指揮を行ったことなどにより、有罪認定の根拠とされていた関係者らの供述の信用性を否定して、2024年(令和6年)10月、再審開始を決定し、確定している。
本件の再審開始決定の確定は、裁判所が再審における証拠開示や事案の解明に向けて積極的な訴訟指揮を行ったことや検察官が不服申立てをしなかったことに起因するが、いずれも現行の再審手続に関する法律(刑事訴訟法第四編「再審」)(以下「再審法」という。)に規定がなく、あくまで裁判官や検察官の個別判断によるものである。このように、裁判官や検察官の判断によって刑事裁判制度の運用が大きく変わる可能性があり、そのこと自体がまさに国民の人権保障に悖るものであるといえる。現に本件の第一次再審請求が申し立てられた2004年(平成16年)から再審開始確定まで約20年経過しているが、それは、再審開始決定に対して検察官が不服申立てをしたことや、検察官の消極的な証拠開示、これに対する裁判所の訴訟指揮の不十分さによるものである。
このように、本件は、再審法の制度的・構造的な問題を浮き彫りにして、早急に立法的な解決が必要であることを改めて示している。
当会は、2023年(令和5年)5月に再審法の改正を求める総会決議を可決し、同様の会長声明を繰り返し発出し、市民向けのシンポジウムを開催するなどして、再審法の改正を求める活動を継続的に行っている。2025年(令和7年)6月時点では、山梨県議会及び山梨県内の27市町村議会のうち過半数を超える19の市町村議会において再審法改正の趣旨に賛同した議決がなされている。また、国会においても再審法改正の法案の審議が継続しているところである。なお、国会において法案の審議が既に継続していることからすれば、一刻も早くえん罪被害者を救済する必要があることにかんがみ、再審法改正に極めて消極的な法務省が主導する法制審議会の長時間の議論をあえて待つ必要は全くない。
以上の経緯に照らして、当会は、検察官に対し、本日の無罪判決を尊重し、上訴権を放棄して直ちに無罪判決を確定させることを強く求める。
また、国会に対しては、現在継続している法案審議において、再審請求手続における証拠開示の制度化、再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止、再審請求手続における手続規定の整備などの再審法の改正を、速やかに行うよう改めて強く求める。
当会は、同法改正に向けた活動を含む、えん罪の根絶とえん罪からの救済のための活動に注力することを表明する。
2025年7月18日
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会長
大西達也
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