2024年(令和6年)年1月18日、甲府地方裁判所において、殺人罪等に問われた21歳(犯行時19歳)の被告人に対して死刑判決が言い渡され、同年2月2日、死刑判決が確定しました。
当会は、国際社会の状況や国民意識などを踏まえ、死刑制度の存廃に関して国民的な議論を行うべき時期に至っているとの認識のもと、2020年(令和2年)3月31日、国会に対して最高刑のあり方に関する議論を求めるとともに、その結論が出るまでの間全ての死刑執行の停止を求める会長声明を発出しています。
そのため、本件死刑判決についても、死刑制度の存廃に関しての議論の結論が出るまでの間、死刑の執行を行わないよう求めます。
また、本件死刑判決は、2022年(令和4年)4月1日に改正少年法が施行された後、特定少年に対する初めての死刑判決です。子どもの権利条約は心身が未熟であることを理由に18歳未満の子どもに対する死刑を禁止しており、少年法も罪を犯した当時18歳未満の少年に対しては死刑を科さないとしています。これらの法の趣旨は、いまだ心身の発達の過程にある特定少年の事件においても尊重されるべきです。また、2023年(令和5年)4月1日に施行されたこども基本法は、心身の発達過程にある全ての者の成長に対する支援を内容としており、この観点からも、いまだ心身の発達の過程にある特定少年に対する死刑の適用に関して議論することが必要であると考えます。
2024年2月9日
山梨県弁護士会
会長 花輪仁士