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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

山梨県に対し具体的で充実した犯罪被害者等支援計画の策定を求めると共に、県内の各市町村に対し犯罪被害者等支援条例を制定するよう求める会長声明

1 山梨県内の状況

  1.  令和4年12月26日、山梨県犯罪被害者等支援条例(以下「特化条例」といいます。)が公布、施行されました。
     同条例においては、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、知事は、犯罪被害者等支援計画を定めるものとされました。
  2.  県内市町村のうち、韮崎市には犯罪被害者支援条例があるものの、他市町村には犯罪被害者支援に特化した条例がありません。

2 山梨県の特化条例制定の意義と支援計画における具体的施策策定の必要性

 山梨県が特化条例を制定し、犯罪被害者等支援計画を定めるとしたことは、犯罪被害者等の支援や県民が安心して暮らせる地域社会の実現を図るために大きな意義があります。

 一方、犯罪被害者等基本法や基本計画は、地方公共団体に対し、地域の状況に応じた施策を策定し実施するべき責務を負わせ(犯罪被害者等基本法第5条)、総合的かつ計画的な犯罪被害者等支援の促進が掲げられている(第4次犯罪被害者等基本計画)ところであり、地方公共団体には、犯罪被害者等の権利を保障しその実現を図るために、主体的に取り組むことが要求されています。

 そのため、犯罪被害者等支援計画を定めるに当たっては、その内容が具体的で充実したものでなければならず、犯罪被害者等に対する見舞金の支給制度、犯罪被害者等給付金が支給されるまでの貸付金制度、二次被害防止等のための県営住宅への優先的入居制度、さらには、民間支援団体の重要な役割に鑑み、その財政基盤の確保に関する具体的な施策について定めることが必要です。

3 県内各市町村の条例制定の必要性

 市町村において犯罪被害者支援に特化した条例を制定する際には、見舞金の支給や、家事・介護・保育等の日常生活支援等、県条例にはない支援内容が独自に規定されることも多いところですが、居住する市町村に条例があるかどうかで支援の有無が異なるのは、不合理であるといわざるを得ません。

4 結論

 以上より、当会は、山梨県に対し、犯罪被害者等支援計画において、犯罪被害者等への充実した具体的な施策を定めることを求めるとともに、山梨県内の全ての市町村に対して、犯罪被害者等の支援に特化した条例を制定することを求めます。

 当会は、関係機関と連携し、支援計画等の制定や各市町村の条例制定に向けて、最大限の協力と支援を行っていく所存です。

2023年3月8日

山梨県弁護士会
会長 
石川 恵