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声明・総会決議
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声明・総会決議
オンラインによる証拠の閲覧・謄写及び証拠一覧表の交付並びにオンラインによる接見を実現することを求める会長声明
刑事手続における情報通信技術の活用に関しては、2022年3月15日に「刑事手続における情報通信技術の活用に関する検討会『取りまとめ報告書』」(以下「本報告書」という。)が公表され、同年6月27日に法制審議会に諮問された。
本報告書においては、「考えられる方策」の一つとして、証拠の閲覧・謄写及び証拠一覧表の交付について、一定のセキュリティ措置を前提に、相手方にオンラインでその機会を与えることができるものとされている。
裁判員裁判であれば公判請求予定証拠だけではなく類型証拠等様々な証拠も開示されることが通常であり、重大な事件であれば開示される証拠も膨大な量となる。これらの膨大な開示証拠について紙媒体による謄写を原則とし続けることは、弁護人・被告人にとって大きな物理的、時間的、金銭的負担となり、ひいては被告人の権利・利益を害することにつながりかねない。
したがって、証拠の閲覧・謄写及び証拠一覧表の交付の方法としてオンラインの方法によることを速やかに認めるべきである。
また、本報告書においては、弁護人又は弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)と被疑者又は被告人がビデオリンク方式により接見することについて、「実務的な運用において現実的に検討しうる選択肢があることについては、認識の共有が図られ」、このような選択肢に関し更なる協議が進められることが期待される旨の記載がある。
特に、逮捕直後の被疑者にとって、取調べ前に法的助言を得る機会である初回接見の重要性は極めて高く、できるだけ速やかな弁護人等との接見が望まれるところであるが、オンラインによる接見が可能になれば接見場所までの弁護人等の移動時間が不要になり、より早期の接見が可能になる。
さらに、山梨県において発災した平成26年豪雪の際のように、悪天候などにより交通網が遮断され、接見が困難になることもありうるが、かような場合にも接見が可能になる。
したがって、被疑者・被告人の権利・利益を考慮すれば、弁護人等が被疑者・被告人と接見する手段の一つとして、オンラインによる接見を実現すべきである。
本報告書で指摘されているとおり、刑事手続における情報通信技術の活用は、被疑者・被告人の権利・利益の保護に資する。
そのため、情報漏洩に対する危惧が指摘されることもあるが、適切な情報セキュリティ確保の方策を講じることによりその危惧を回避し、制度の実現を図っていくべきである。
以上より、当会は、刑事手続のIT化実現にあたり、被疑者・被告人の権利・利益の保護を図るために、オンラインによる証拠の閲覧・謄写及び証拠一覧表の交付並びにオンラインによる接見を実現することを強く求めるものである。
2022年7月8日
山梨県弁護士会
会長
石川 恵
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