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声明・総会決議
:: 死刑執行に強く抗議し,直ちに死刑執行の停止を求める会長声明
声明・総会決議
死刑執行に強く抗議し,直ちに死刑執行の停止を求める会長声明
当会は,2020年3月31日,国会に対して最高刑のあり方に関する議論を求めるとともに,その結論が出るまでの間全ての死刑執行の停止を求める会長声明を発出し,さらに,2021年12月21日に3名の死刑執行が行われたことに対し,即時に抗議し,死刑執行の停止を求める会長声明を発出した。
しかし,2022年7月26日,再び東京拘置所において死刑が執行された。
同死刑囚は、再審請求中であった。
人の生命に究極的な価値を認め,その生命を奪う権利は何者も有しないとの普遍的な命題を根拠にすると,死刑制度がこの普遍的な命題と矛盾することは明らかだということになる。
また,刑事司法制度の運用は人間が行う以上,誤判の危険性を完全に排除することができないし,誤判により生命を奪われる事態が1人でも生じてしまえば,それは冤罪によって無辜の者に死刑を執行するという究極の人権侵害となる。
実際,日本では4人の死刑確定事件について再審で無罪が確定している。
昨年12月の会長声明でもふれたとおり,2020年1月17日に公表された死刑制度に対する意識調査を含む「基本的制度に関する世論調査」によれば,死刑制度の存廃に関する国民世論は,将来的な廃止の可否という点では,おおよそ拮抗している。また,死刑制度の存廃について仮釈放のない終身刑が導入された場合は「死刑を廃止する方がよい」という回答は,全回答者の35.1%に上っている。
さらに,アメリカも2021年7月1日,連邦レベルでの死刑の執行を一時的に停止していることから,日本を含む先進国グループであるOECD(経済協力開発機構)加盟国(38か国)のうち,死刑を国家として統一して執行しているのは,日本だけという状況になっている。
このように,国際社会の潮流は死刑廃止に向かっており,国連の自由権規約委員会,拷問禁止委員会及び人権理事会は,断続的に死刑を執行する日本に対し,いったん死刑執行を停止し,死刑廃止を前向きに検討すべきであるとの勧告を出し続けているが,今回の死刑執行は日本が依然として勧告に従っていない状況を表している。
以上のとおりの国際社会の状況,さらには国民意識などを踏まえた場合,我が国においても,死刑制度の存廃に関して国民的な議論を行うべき時期が熟しているというべきである。
確かに,凶悪な犯罪に巻き込まれた被害者やご遺族が加害者に対し厳罰を望むことは当然の心情である。
我が国の被害者支援にかかわる施策は未だ不十分であり,充実した支援を受けられる社会の実現のため,当会としても全力で取り組む所存である。
しかし,被害者支援と死刑制度の存廃に関する議論は別個かつ両立するものである。
死刑が生命に対する権利(「生きる権利」)という最も重要で基本的な人権に関わる問題である以上,当会は,2022年7月26日の死刑執行に対しては,再度強く抗議をするとともに,あらためて,国会に対し,国民とともにかかる議論を行うことを求め,その結論が出るまでの間,立法により全ての死刑執行を停止するよう求めるものである。
2022年7月26日
山梨県弁護士会
会長
石川 恵
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