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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

改正少年法下で初めて実名報道がされたことを受けての会長談話

 本日、推知報道禁止が一部解除された少年法等の一部を改正する法律(2021年5月21日成立、以下「改正少年法」という。)施行後初めて、特定少年について実名報道がなされました。
 当会は、改正少年法に規定された推知報道禁止の一部解除に関し、2021年4月10日の「少年法改正法案に反対する会長声明」、同年6月8日の「改正少年法の慎重な運用及び適切な見直しを求める会長声明」、2022年4月8日「改めて改正少年法の慎重な運用を求めるとともに少年事件の報道等に配慮を求める会長声明」において、反対の立場を表明し、適切な見直しを求めてきました。
 改正少年法施行以前、推知報道は、プライバシー権や成長発達権を侵害し、少年の健全育成及び更生の妨げとなることから、少年法により一律に禁止されてきました。改正少年法では、検察官の公訴提起により、特定少年に関する推知報道禁止が解除されることになりましたが、改正少年法において特定少年も少年とされており、少年法の健全育成の趣旨は妥当します。
 この点、インターネット上の情報を完全に除去することは不可能であることから、一旦推知報道がなされると、将来にわたって半永久的に少年の更生への足かせとなります。
 そのため、改正少年法の審議にあたり、「いわゆる推知報道の禁止が一部解除されたことが、少年の健全育成及び更生の妨げとならないよう十分配慮されるべき」との衆参両院の附帯決議がなされています。
 したがって、改正少年法下において推知報道が認められる場合であっても、報道機関に対しては、衆参両院の附帯決議に示された懸念を真摯に受け止め、その報道や取材の在り方、報道の必要性について十分に検討・配慮されるよう要請します。
 また、報道や取材等により、被害者やそのご遺族、周囲の方々のプライバシーや生活の平穏が侵害される事態が継続しています。これらの方々の権利にも十分配慮されるよう要請します。
 なお、改正少年法下においても捜査段階や家庭裁判所の審判段階(起訴前)の推知報道が違法であることに変わりはなく、改めて、今後少年事件が発生した場合、法を遵守するよう求めます。 

2022年4月8日

山梨県弁護士会
会長 
石川 恵