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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明

 2020年の中央最低賃金審議会は、新型コロナウイルス感染拡大が企業経営に与える影響を重視し、2020年度の地域別最低賃金額引き上げの目安額の提示を見送った。これを受け、各地の地方最低賃金審議会も引き上げ額を抑制し、引き上げなし、または1円ないし3円の引き上げにとどまった。山梨県でも1円の引き上げにとどまり、時給838円となった。

 しかし、時給838円は、1日8時間、週40時間で働いたとしても、賃金だけで健康で文化的な生活を維持することは到底できない水準である。この低水準の最低賃金が非正規労働者や女性労働者をはじめとする、労働者の貧困の要因となってきた。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大は、これらの労働者に更なる困難をもたらしている。

 この状況のもとで、企業経営を理由に最低賃金を据え置くことは、貧困に苦しむ労働者にコロナ禍による困難を一方的に押し付けるものである。ヨーロッパ諸国においては、コロナ禍のもとでも最低賃金の引き上げを実現している。最低賃金引き上げは地域経済の活性化に効果があると指摘されているところ、労働者の生活を保障し、新型コロナウイルス感染拡大に向き合いながら、経済を活性化させるためにも最低賃金の大幅引き上げが必要である。

 一方、最低賃金の大幅引き上げにあわせて、我が国の地域経済の主役である中小企業が、最低賃金を引き上げても円滑に企業運営を行うことが可能となる支援策を講じることも必要である。例えば、社会保険料の事業主負担の免除・軽減や取引先企業との間での公正な取引の確保、補助金支給等による支援策などが考えられる。

 当会ではこれまでも最低賃金の大幅な引き上げを求めてきたところであるが、コロナ禍のもとで労働者の健康で文化的な生活を確保するためにも、中央最低賃金審議会に対し、最低賃金引き上げの答申をすることを求めるとともに、山梨県地方最低賃金審議会に対し、山梨県の最低賃金額を大幅に引き上げることを求める。

 また、国及び山梨県に対し、最低賃金の引き上げにより影響を受ける中小企業への十分な支援策を求める。

2021年7月9日

山梨県弁護士会
会長 
八巻力也