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山梨県弁護士会について

声明・総会決議

司法試験合格者数のさらなる減員を求める12弁護士会会長共同声明

  1.  日本弁護士連合会は、2016年3月の臨時総会決議において、現行の法曹養成制度の下で、法曹志望者が毎年大幅に減少を続けている実情を踏まえ、こうした状況が続くならば我が国の司法と民主主義を担う人的基盤を脅かす危険があるとし、2015年の司法試験合格者数が1850人であった状況の中で、「まず、司法試験合格者数を早期に年間1500人とすること」を、可及的速やかに実現すべき緊急の課題として、全国の会員・弁護士会と力を合わせて取り組むことを表明した。
  2.   新制度発足後、現実の法的需要を大幅に超える司法修習終了者が毎年供給されてきた。加えて、裁判所における民事訴訟事件の新受件数がピーク時に比べて大幅に減少するなど法曹に対する従来型の需要は供給との関係で増加するどころか減少を続け、新しい活動領域の拡充も、供給の増加を吸収する規模には至っていない。そのため、司法修習終了後の就業状況に多少の改善傾向がみられている現在においても、弁護士の過剰供給を原因とした法曹の職業としての魅力の低下は、今なお回復したとは言い難い状況にある。
     それに伴い、2019年度の法科大学院実入学者数は、1862人と昨年度に比べ若干回復したものの、依然として低迷した状態にある。司法試験受験者は、2004年には4万3千人であったものが、一昨年は5238人となり、さらに昨年は4466人と実に10分の1近くにまで減少した。
  3.  政府の法曹養成制度検討会議は、2013年6月26日の取りまとめにおいて、「多様で有為な人材を法曹に確保することが困難となる危機に直面していることは否定できない」とし、これを受け、文科省は198回国会に法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案を提出し、法科大学院制度に対する改革として、大学法学部3年と法科大学院2年の計5年で修了する法曹コースの創設、法科大学院在学中の司法試験受験を可能にする等の法改正が行われた。
     しかし、上記の通り、志願者の減少の根本原因が法曹の職業としての魅力低下にある以上、この原因を解消しない限り、大幅な法曹志望者の回復を期待することは困難である。
     法曹の職業としての魅力低下を解消し、有為な人材としての志願者増加を達成するには、現状の過剰な需給バランスを是正し、法曹志望者が、自信をもって法曹の道を目指すことができるような環境の整備を行うことこそが必要である。
  4.   こうした中、法務省は、2019年9月に、同年の司法試験合格者数を1502人と発表した。前年に引き続き、合格者数がわずかに(23名)減少したとはいえ、受験者数が5238人から4466人へと772人減少したにもかかわらず、合格率は、29.1%から33.6%へとかえって上昇している。合格率は、2011年以降以下の通りであり、近年急激に上昇している。
      2011(H23)年 23.5%(合格者2063/受験者8765)
      2012(H24)年 25.1%(合格者2102/受験者8387)
      2013(H25)年 26.8%(合格者2049/受験者7653)
      2014(H26)年 22.6%(合格者1810/受験者8015)
      2015(H27)年 23.1%(合格者1850/受験者8016)
      2016(H28)年 22.9%(合格者1583/受験者6899)
      2017(H29)年 25.9%(合格者1543/受験者5967)
      2018(H30)年 29.1%(合格者1525/受験者5238)
      2019(R01)年 33.6%(合格者1502/受験者4466)
     このような合格率の顕著な上昇は、司法試験合格者を1500人以上とすることを至上命題とすることから生じる現象であって、法曹養成制度改革推進会議が2015年6月30日付け取りまとめにおいて、「輩出される法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものでないことに留意する必要がある」と指摘していることを蔑ろにし、司法試験合格者の質の確保よりも合格者数の確保を優先しているものとして強く危惧せざるを得ない。
  5.   法曹は司法を担う人的基盤であって、司法制度は法の支配と人権擁護の基盤となる国家制度である。今、供給過剰状態を解消し、法曹の職業としての魅力を回復し、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの機会を十分に確保するなどして法曹の質を保持することは、司法制度存立の基礎を維持するために必要不可欠な事柄である。
     そこで、われわれは、共同で、政府に対し、さらに司法試験合格者数を減員する方針を、速やかに採用することを強く求めるものである。

 

 

                札幌弁護士会
                   会長   樋  川  恒  一
                            (公印省略)

                秋田弁護士会
                   会長   西  野  大  輔
                            (公印省略)

                仙台弁護士会
                   会長   鎌  田  健  司
                            (公印省略)

                栃木県弁護士会
                   会長   山  田     実
                            (公印省略)

                埼玉弁護士会
                   会長   吉  澤  俊  一
                            (公印省略)

                千葉県弁護士会
                   会長   小  見  山   大
                            (公印省略)

                山梨県弁護士会
                   会長   吉  澤  宏  治
                             (公印省略)

                長野県弁護士会
                   会長   相  馬  弘  昭
                             (公印省略)

                富山県弁護士会
                   会長   菊     賢  一
                             (公印省略)

                兵庫県弁護士会
                   会長   堺     充  廣
                             (公印省略)

                山口県弁護士会
                    会長   野  村  雅  之
                             (公印省略)

                大分県弁護士会
                    会長   原  口  祥  彦
                             (公印省略)

 

                      

2020年3月25日