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声明・総会決議
:: いわゆる「共謀罪」法案の廃案を求める会長声明
声明・総会決議
いわゆる「共謀罪」法案の廃案を求める会長声明
2017年3月21日に、過去3度廃案となった「共謀罪」について、テロ対策を名目としてこれを新設する組織犯罪処罰法改正案(以下「「共謀罪」法案」という。)が閣議決定され、国会に提出された。当会は、「共謀罪」は重要な基本的人権を侵害するものであるなどとして、過去3度(2006年1月20日、2014年10月11日、2016年10月1日)「共謀罪」創設に反対する会長声明を出した。「共謀罪」は、具体的な犯罪について2人以上の者が話し合って合意するだけで処罰できる犯罪のことであるが、その合意のみで処罰するのは、内心の自由や表現の自由を侵害する危険が極めて高いことは従前の指摘のとおりである。
「共謀罪」法案では、犯罪主体を「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」としている。しかし、「テロリズム集団」について何も定めてない。「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」には「常習性」や「反復継続性」等の要件も付加されておらず、犯罪主体が限定されていると評価することはできない。また、適法な目的を有する団体でも、犯罪の共謀を行った時点で「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」となったと解釈できることから、どのような団体でも「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」と認定される危険性が高く、一般市民も処罰の対象となる可能性があることを否定できない。
また、「共謀罪」法案では、「準備行為」を要件とし、「準備行為」について、「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」としている。しかし、その「準備行為」も法益侵害の危険性が全くない行為も含むものであって、この要件自体が犯罪を限定する機能をしておらず、本質的には「共謀罪」そのものであることには変わりがない。
さらに「共謀罪」法案は、対象犯罪を600以上の犯罪から277に限定している。しかし、いくら対象犯罪を限定しても、共謀罪が内包している本質的な危険性は変わらない。277に限定した犯罪の中でも、未遂犯・予備犯を処罰せず既遂犯のみを処罰対象としている犯罪を多数含んでおり、既遂犯の処罰を基本とする現行刑法の基本原則を否定するものである。特に、対象犯罪には、偽証罪も含まれているので、刑事裁判における弁護人と証人との打合せ等が偽証罪の共謀として検挙されるおそれがあり、正当な弁護活動が妨害される重大な懸念を含んでいる
したがって、組織犯罪処罰法の改正案は、「共謀罪」の問題点を解消することなく、その本質はいわゆる「共謀罪」と何ら変わらず、重要な基本的人権を侵害するものである。
よって、当会は、いわゆる「共謀罪」法案の廃案を強く求める。
2017年3月11日
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会長
松本成輔
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