2008年9月以降、世界的な金融危機は、雇用情勢を悪化させ、なかでも職を失った非正規労働者は、2009年6月末までに222,500人を超えている(「非正規労働者の雇止め等の状況について(6月報告:速報)」(2009年6月30日厚生労働省発表))。
このように非正規労働者が大量失業する事態を生み出した原因は、労働者派遣法の派遣対象業務の原則自由化(1999年改正)、製造業派遣の解禁(2003年改正)などの規制緩和に基づき、企業が正規雇用を減らし、雇用の調整弁として非正規雇用への置き換えを進めたことによるものである。
しかも、非正規労働者は、正規労働者と同一の労働を提供しているにもかかわらず、賃金などの労働条件を差別され、雇用保険などのセーフティネットが機能していないために、企業による安易な雇用の打ち切りによって、生存権(憲法25条)さえも脅かされている状態に陥っている。
政府は、2008年11月4日に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「派遣法改正案」という。)を国会に上程した。
しかしながら、派遣法改正案は、派遣対象業種を限定せず、登録型派遣を容認するなど、派遣労働者の権利の保護には極めて不十分である。
そこで、当会は、非正規労働者の雇用の維持と生活基盤を確保するために、
などの点について、労働者派遣法の抜本改正を強く求めるものである。
2009年7月9日
山梨県弁護士会
会長 平嶋 育造