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:: 南スーダンにPKOとして派遣される自衛隊部隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与することに抗議し、改めて安保法制の廃止を求める会長声明
声明・総会決議
南スーダンにPKOとして派遣される自衛隊部隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与することに抗議し、改めて安保法制の廃止を求める会長声明
政府は、平成28年11月15日、南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に国際連合平和維持活動(PKO)として派遣される自衛隊に対して、「駆け付け警護」の新任務を付与する閣議決定を行うとともに、「宿営地の共同防護」が可能となることを確認した。
「駆け付け警護」とは、離れた場所にいる国連やNGOの職員が武装勢力等に襲撃された場合、その救出等を行うものであり、「宿営地の共同防護」とは、自衛隊が宿営する宿営地が襲撃を受けた場合に、他国軍部隊とともに反撃を行うというものである。
上記閣議決定に基づき、同年12月12日以降、南スーダンに派遣された自衛隊部隊が「駆け付け警護」等の新任務遂行のために武器使用を行うことが可能となった。
「駆け付け警護」及び「宿営地の共同防護」の任務遂行のために武器使用を認めることは、従来自衛隊のPKO活動の合憲性の根拠とされた自己保存型のみへの武器使用の制限を超え、憲法9条が禁止する海外での武力の行使に至る危険を有するものである。そのため、当会はPKO法改正も含む安保法制に対して一貫して反対してきた。
この度、安保法制の初めての発動として、南スーダンに派遣した自衛隊部隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与したことは、日本国憲法の立憲主義・平和主義に反するものと言わざるを得ない。
南スーダンの現状は、自衛隊が派遣された首都ジュバにおいて平成28年7月に大規模な武力衝突が発生し、同年10月には反政府軍のトップが和平合意は崩壊したと発言している。さらに、国連の報告等でも、和平合意は崩壊したとされ、民族対立を背景に今後さらに戦闘が激化することへの懸念が表明されている。また、政府軍・反政府軍による国連施設等への攻撃が行われていることも報告されている。
政府は、新任務付与の合憲性の根拠として、「紛争当事者間での停戦合意」を掲げているが、現在の南スーダンでは、「停戦合意」がすでに破たんしていることは明らかである。
このような極めて危険な現状において、自衛隊が新任務を遂行すれば、戦後初めて自衛隊員が戦闘により殺傷され、また、他国の市民を殺傷することになりかねない。
以上より、当会は南スーダンにPKOとして派遣される自衛隊部隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与することに強く抗議し、閣議決定の撤回を求めるとともに、改めて立憲主義違反の安保法制の廃止を求めるものである。
2017年1月14日
山梨県弁護士会
会長
松本成輔
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